「お前等付き合ってんの?」
クラスの奴によく言われる言葉。
残念ながら答えはノーや。
友達というには近すぎる存在で。
でもは小5の夏に引っ越してきたから幼なじみという枠にもくくれなくて。
いつも家が隣だから、という答えかたしかできない。
隣人、ご近所さん、ただそれだけ。
そう再認識されるからこの質問は嫌いや。
はいつも笑いながら否定する。
付き合っていなかったらお前は俺との関係をなんて言う?
ただの友達なんて言ったらショック以前にキレるで。
こんなに近くにいるのに、ただの友達なんて言われたら俺はこれ以上にどうすればいいんや。
学校ではクラスが一緒で、周りは常に笑いを取ろうとくだらないことをやってる奴らばかり。
部活にも所属せず誰とも連もうとしない俺の隣には不思議といつもが居る。
はお笑いとかそんなものに興味はない。
でも人から構われやすく、好かれやすいタイプ。
クラスに馴染もうと思えばいつでも馴染めるはずだ。
寧ろ俺と一緒に居っても女子から声をかけられてる。
それでもあいつは不思議と俺の隣に居る。
登下校も、休み時間も、お昼も。
俺に気を遣ってるんだか、どうなのか。
何でお前はいつも俺にくっついて来るんや
なんて前に聞いたことがある。
そうしたら首を傾げてその質問に対して
なんで?
なんて聞き返してきた。
まるで、なんでそんなこと聞くの?と言いたげに。
の中では俺と居ることが当たり前になっているのかとかそんなことはさっぱり分からん。
あいつの考えている事は3年間一緒に居っても分からない。
全く空気読めてないように見えて実はすごく周りに気を遣っているし。
なにも分かっていないようで実はちゃんとわかっていたりする。
「光くんは友達でもないけど、いなくちゃダメな人、かな」
「の保護者やもんなー!」
「うん!」
またや。
分かってるんだか分かってないんだか。
これだからこんな鈍感な奴やめといたほうがええんちゃうか。
とか思ってもなかなかそうさせてくれない。
「保護するのダルくなってきたし、そろそろ巣立ってええんやで」
「そ、そんなこと言わないで光くん!」
まあ、が傍に居てくれるなら好都合や。
今は保護者でもなんでもいい。
別に恋人じゃなくてもええわ。
一番近くに居る存在なら。
それ以上を望んでも仕方がない。
友達でもなくて幼なじみでもなくて恋人でもない。
ただ家が隣のクラスメイト。
きょうだいという程身近ではなくて。
それでもいないと落ち着かない。
そんな不思議な関係。
あえて言うならこの関係は